平日は、問題があれば考え、判断し、次に周りをどう動かすかを決めます。休日になってもその感覚が抜けず、ドッグランでは「せっかく来たのだから、もっと走ってほしい」と愛犬ラッキーを促していました。
ところがラッキーは、匂いを嗅いだり、ほかの犬と距離を取ったりして、私の期待どおりには動きません。最初はもどかしく思いましたが、途中から無理に走らせるのをやめ、危なくないかだけを見ながら待つようになりました。
この記事では、ラッキーを動かそうとせず見守るようになった経緯、その時間が仕事中の判断や指示から離れるきっかけになった理由を書いています。休日まで仕事を引きずってしまう方が、自分なりの切り替え方を考える参考になれば幸いです。
休日も仕事の判断を引きずっていた
私は都内のメーカーで仕様設計の仕事をしています。
平日は、問題が起きれば原因を探し、関係者と相談し、次にどう進めるか、周りにどう動いてもらうかを決めます。確認することや判断することが重なると、仕事が終わっても気が付けば頭の中では続きを考えていました。
折角の休みの日でも、何もしないでいると、未処理の案件や仕様変更が浮かんできますし、せっかくの休日なのに、気持ちだけは会社に置いたままということもあります。
私はもともと、何かあれば何をすべきかを考えて動いてみるほうですが、仕事を離れてからも次の行動を探していると、休んでいるつもりでも頭は動き続けます。
そんな週末に、妻と愛犬のラッキーを連れて近くのドッグランへ行くことがあります。毎週ではありませんが、キャリーケースを出すと、ラッキーは「お、これはお出かけかな?」とでも言うように反応し、尻尾を振りながら中へ入ろうとします。
その姿を見ると、「こんなに楽しみにしてくれると、こちらもうれしくなる」と思い、外へ出かける気持ちになりますね。
ラッキーを走らせようとしていた
ドッグランへ着くと、周りでは犬たちが芝生の上を走っています。
そんな風景を見ていると、「これならラッキーもリードを外せば、すぐに勢いよく走り出すに違いない」と、最初は、そんな愛犬の姿を期待していました。
せっかくドッグランまで来たのだから、広い場所を自由に思いきり走ってほしい、ほかの犬とも遊び、普段の散歩では見られない動きを見せてくれると嬉しいな、と思っていました。
ところが、ラッキーはすぐ走るわけではありません。
まず私や妻の近くで周囲を見回し、地面の匂いをフンフンと何度も確かめます。少し歩いては立ち止まり、近づいてきた犬がいると、その場から距離を取ることもありました。
「せっかく来たんだから、もう少し走ればいいのに……」
そう思い、名前を呼んで走らせようとしたり、少し先へ誘ったりしたこともあります。
私の中には、こんな広い場所で自由にできるんだから、ラッキーらしく元気に走ってほしいという勝手な期待がありました。
でも、呼んだからといって思いどおりに動くわけではありません。近くへ戻ってくる場合もあれば、匂いを嗅いだまま動かない時もあります。
仕事では、目的を決め、予定どおり進むように調整します。その癖を、休日のラッキーにまで持ち込んでいたのかもしれません。
思いどおりに動かない姿を見守る
ラッキーが思ったほど走らない日は、最初のうちは少し物足りなく感じていました。
周りの犬が楽しそうに走っていると、つい比べてしまいます。ラッキーにも同じように遊んでほしいと思いました。
ただ、しばらく様子を見ていると、ラッキーはラッキーで忙しく色々なことをしているのに気が付きます。
地面の匂いを確かめたり、少し離れた犬の動きを見たり、私たちの近くへ戻ってきたりしています。私が期待していた遊び方ではないだけで、ラッキーは自分のペースで自由に動いていたんですね。
そんな姿を見ている内に、「私が思っていたことと違うけど、ラッキーなりに自由に楽しんでるんだな…」と、何度も呼んだり追いかけたりするのをやめました。
なにか、危ないこと、ほかの犬や飼い主に迷惑がかかるようなことをしていないかは見ますが、ドッグランの敷地内であれば、どこへ行こうが、どう走ろうが、気にしないようにしました。私と妻はベンチや柵の近くから、ラッキーが動く様子をただ見守ります。
様子を見ていると、ほかの犬と何度も挨拶する日もあれば、距離を取る日もあります。少し近づいたと思ったら、私たちのところへ戻ってくることもあります。
以前なら「もっと遊べばいいのに」と思ったでしょう。でも、ラッキーが自分から離れて戻ってくるなら、無理にほかの犬へ近づける必要はありません。そのまま見守るようになりました。
普段の散歩では、ラッキーと相手の犬の反応を見ながら、無理に距離を縮めないようにしています。何度も会う飼い主と、会釈だけを交わしながら顔なじみになった体験は、「犬の散歩で他の飼い主に挨拶する記事」に書いています。気になる方は、あわせて読んでみてください。
指示しない時間が仕事から離す
仕事中の私は、次に何をするか、関係者に何を伝えどう動いてもらうかを考え続けています。
問題があれば判断し、関係者へ伝え、予定どおり進むように調整します。何もせず見ているだけ、という時間はほとんどありません。
ドッグランでも、最初はそうした考えや行動をしようとしていたのかもしれません。でも実はその役割は違う、ということに気が付きました。
ラッキーが危なくないか、周りに迷惑をかけてないかは見ていますが、どこをどのように走るかを促したり、あの遊具で遊べばいいのにと誘うようなことはしません。立ち止まっているなら、動き出すまで待ちます。
最初は、ただ見ている時間が少し手持ち無沙汰でした。
「今日はあまり走らないな」
「もう少し遊ばせたほうがいいかな」
そんなことを考えることもあります。
でも、見守るようにしてみると、私も次の行動を決めなくてよいことに気が付きます。
ラッキーが歩けば目で追い、戻ってくればそのまま迎える。ほかの犬に近づけば、どんな挨拶をするのかなと見守るし、離れれば、あぁ、あの犬は苦手みたいだな、と思う。
その繰り返しの中で、仕事の案件を考える時間が少しずつ減っていきました。
何かを解決したわけではありません。
ドッグランへ行ったから、疲れがすべて消えるわけでもありません。
ただ、考え、判断し、指示する立場から一度離れ、ラッキーの自由に動く姿を見ている。その時間が、仕事中とは違いました。帰る頃になって、「そういえば、今日は途中から仕事のことを考えていなかったな」と気づくことがあります。
思ったほどラッキーが走らない日でも、ラッキーはラッキーで自由を楽しんだでしょうし、私は私で仕事から離れる時間を持てました。そう考えると、期待していた以上に、ドッグランへ来た意味があったんだなと思います。
まとめ
ドッグランへ行ったからといって、愛犬が思いきり走るとは限りません。匂いを嗅いだり、ほかの犬と距離を取ったり、飼い主の近くへ戻ってきたりと、その日の気分で自由に動いています。
以前の私は、せっかく来たのだからと走るように促していました。今は見守りながら、ラッキーが自分から動くまで待っています。考え、判断し、周りを動かす仕事とは違い、指示せず見守る時間が、仕事中の役割から離れるきっかけになりました。
思ったほど走らない日でも、ラッキーはラッキーで自由に過ごし、私は私で仕事から離れられます。ドッグランは、愛犬だけでなく、飼い主にもちょっとした自由な時間を与えてくれる場所なのかもしれません。
